East gate,Open the sea.

飽きるまで推す

パライソにはもう行けない

 私は極悪人なので。


 私は極悪人なので、新しいウィルスが流行ってどうやら世間は外出を自粛しているようだが遊ぶ金欲しさに元気に出社している。極悪人が務めているので当然弊社は悪の組織で緊急事態宣言が出された地域にあるにもかかわらずリモートワークや自宅待機の指示は出す素振りもない。ウィルスに関する危機管理はできていないが情報漏洩に関する危機管理はしっかりしているので、持ち出せる資料が限られていてそもそも在宅勤務が難しい悪の組織である。なのでまあ難しいだろうなとは思っていたが、ここまで来ても全然動じない「今月も全員皆勤賞を目指しましょう」と月初めに言っていた我が組織には一周回って感心してしまう。

 私は極悪人なので、遊ぶ金も欲しいし私腹を肥やしたいのでこのご時世だが残業をしまくっている。
 悪の組織ではあるが社員全員が極悪人というわけではなく、小学校や一部の介護施設が休みになったときに子供や高齢者の世話をみるために早い段階で休んでいる人もいる。これに関しては国が給与を補償するといったのでさすがの弊社もそういった事情がある社員の休み希望を聞き入れた。しかし人が減っても仕事は減らない。どうなるかというと出社できる人間の残業が増えるのである。
 また、多数ではないが自ら自粛を申し出て給与は発生しないが出勤していない善人もいるらしい。悪の組織なのでこの状況でも元の出勤時間が午後からとかでない限りは出勤時間を変更しない。一番電車が混む時間に出勤させる。私は自転車通勤だが満員電車に揺られてやってくる社員も多数いる。しかも弊社、加湿器や換気機能はあるが窓は基本的に開けられないし、人がそこそこいる会社なので感染リスクは高い。なので給料は出なくていいから出勤しないという善人の判断は今のご時世をみると実に正しい、社会的な判断だと思われる。それに対して会社がどういった対応をしているのかまでは知らないが、私は極悪人なので給料の査定に響きそうなことはしない。とりあえずそういう自粛している善人が数人いるため人は減るが、当然のように仕事は減らない。どうなるかというと私のような私腹を肥やしたい極悪人の残業が増えるのである。

 私は極悪人なので、「所得が下がった世帯に手当」という方針をくそくらえと思う。
 残業をしまくっている私の所得はおそらく上がるので、手当はもらえないだろう。それに対して「本当に困窮している人を救済すべきだ」という意見もあるかもしれない。私は極悪人なので、それが正しい行いであろうと出勤を自粛して私の残業を増やしてくれている善人が所得が下がって手当を受け取っているのに、所得が減っていない私がもらえないのはおかしいと言いたい。大変な事態になっているのは全員そうなんだから全員に配布しろと思う。

 私は極悪人なので、マスクも毎日しているというわけではない。
 朝から夜まで働いているのでマスクを買いに行く時間がないし、買いに行っても売っていない。手持ちがないわけではないが私は「観劇」という趣味があり、そのときに使いたいのでたかが会社で数少ないマスクを使うのをためらっている。

 私は極悪人なので、どれだけ感染が広がっても舞台の幕が上がれば観に行くつもりである。
「それであなたの推しが感染したらどうなるのだ」という意見はまったくもってその通りであるが、私は極悪人なので幕が上がるのであれば「推しを見たい」という欲望に従って劇場に足を運ぶ。だが手持ちが少ないマスクをここぞとばかりにするしアルコール消毒はこまめにするしトイレの後は爪の間も石鹸で洗う。極悪人だが推しに死んでほしいわけではないし、極悪人だから推しを見られるのであればなんでもする。君が笑ってくれる(のを見られる)なら僕は悪にでもなろう(中島みゆ〇)。

 

 そう思っていたのだけれど、推しの舞台は中止になった。
 極悪人だけれど正義はあるのでその中止の決定に関して誰かを責めようという気はない。推しは見たいが推しには元気で生きていてほしいので推しの感染リスクが下がってよかったと思うことにした。

 私は極悪人なのだけれど、ずっとそうは思わずに仕事をしていた。
 子供や親の世話をしないといけないので休まないといけない人がいる、でも人が減れば仕事が進まず会社は立ち行かなくなる。それなら仕方ない、私は元気なので労働しましょうと立ち上がったがが、そこに悪事をしようという気はなかった。大変な時期だし、「(労働力を)持てるものこそ、与えなくては」という精神だった(山姥切長義)。
 推しの舞台は中止になったが、初日二日目の東京公演は行われていた。
 私は3月、予定やほかの舞台もあり、休みがとれなさそうだったので推しの舞台は兵庫から観劇するつもりだった。それが、3月初めの時点では二日目である3/22が運よくちょうど休みで、さらに翌3/23が午後からの出勤になった。個人的にはエクストリーム出勤(夜行で帰ってきてそのまま出勤する)はしたくないが午後出勤ならできないこともないかと思っていた。普段からそこまでチケットをとるのが難しい公演ではないし席にこだわらなければチケット自体は容易に手に入るだろうと思って、行く方向で動いていた。だが、時間の経過とともに出勤する人が減ってしまい、どんどん仕事は増えていった。迷ったけど、その後の公演のチケットはとてもたくさんあるし、まだ手元に3/22のチケットはなかったので、東京に行く予定をとりやめて出勤して仕事をした。
 今は極悪人になったので「会社のことは考えずに欲望のままに推しの舞台を最優先しろ」と思うけど、そのときはまさかその後の公演が全部中止になるなんて思っていなかった。


 私は極悪人なので、昨日も遊ぶ金欲しさに出勤して帰ったのは夜中だった。極悪人だが仕事は真面目にやるのであまり会社でTwitterを見ない。
 なので帰宅して舞台の中止を知った。
 立てなくなった。
 けど、極悪人というのはメンタルが強くないとできないし次の日も私腹を肥やすために出勤する予定だったので5分くらい呆然としたあとは普通にシャワーを浴びて刀剣乱舞を軽くして就寝した。
 私は極悪人だが前述の通り正義はあるので、推しの舞台としてははじめて生で観劇することができずに終わってしまったことを誰かの所為にするつもりはない。休んだ誰かの所為でも人が足りないくらいの仕事がある弊社の所為でもない。私が自分で判断して遠征をやめて出勤したのだ。出勤した分で推しの個ブロを積もうと浅はかなことを考えていたのだ。
 でも、どうしてもそれを飲み込めない。
 あの日出勤したことを、悪いことなんて思っていなかったしむしろ誰かがしないといけない仕事だし、「持ているものこそ(略)」という善の精神だったはずなのに、その結果がこれかと思うとどうしても納得ができない。
 仕方ないので、「私は極悪人なので、その報復を受けた」と思うことにした。
 そうでも思わなければ、やっていられなかった。納得できないことをどうしても納得しないといけないとき、もしくは納得できなくてももうどうしようもないし考えるだけ時間が無駄なときに私は適当な理由をこじつけて無理やり納得するのだが今回は「私が極悪人なのでこれはなんらかの因果応報である」と考えることにした。善行が巡り巡って最悪な結果になってしまうのは嫌なのだ。
 なので私は極悪人である。

 

 


 はい、というわけで「推しの舞台初日二日目以外全部中止我未観劇マジつらたん」という叔父の抒情詩(ポエム)でした。
 は~~~~泣きてえ~~~~~~~~~~
 雰囲気作りたかったんでいつもブログ冒頭につらつらと並べる「長いし合わない人もいるかも」みたいな注意書きを書かなかったので読んで「なんかいや」と思った方はすみません。謝りますが苦情は受け付けておりません。あと、全部個人の意見だし、ジョークも含んでいるので真に受けないようお願いします。慰めの言葉もいらないしあなたの意見も聞いていません(急に突き放すやん)。
 ちなみにタイトルの「パライソにはもう行けない」は「極悪人なので天国にはもう行けない」ではなく「刀ミュパライソも持ってたチケット全部死んじゃった」という意味です。これが叙述トリックですな(多分ちがう)。推しの舞台と刀ミュ以外にも持ってたチケット全部死んだしファミマの払い戻しが被ったので最寄りのコンビニでコンビニ強盗みたいな額のお金をもらってきてしまった。払い戻しは辛いけどコンビニでお金もらえるのは面白いと思った。
 そして「パライソにはもう行けない」、字面だけ見ると「神は死んだ」に近しいものを感じる。

 同担(思念体)のみなさんはお元気でしょうか。
 前回の「推しと接触」の後編がまだ途中なのに感極まって先に抒情詩が出来上がってしまった。もともと今日は早く帰る予定の日だったので(チケット死んだけど観劇予定があった)仕事はあるけど残業もしないで帰ってぽちぽちブログを書いている。
 無に帰したので書くけど叔父は最前のチケットが2公演分死んだのでへへへ、泣きそうだよ(一応言っておくけど高額転売ではないぞ。協力してもらって当たった最前だぞ)。泣くしかないけど泣いてもしょうがないことと、笑うしかないけど笑っている場合ではないことばかりである。でも落ち込むの下手だから「どうしよ泣いてもどうもならんし笑ってる場合でもないしもう踊るしかなくない?」と思っている。まわしてDJいけてるナンバー(オレンジレン〇)

 もう極悪人になったので好きに言うけど全員に60万寄越せと思う(極悪人なので提示された額の倍を要求する)。所得は減らんがこちとら感染のリスクを冒して出勤して社会を回しとんのやぞ。国民全員大変ななか生きとるんやから全員に金を配布せんかい。なんぼ国と市に税金払っとると思っとんのじゃい。
 あと身バレ防止のために若干のフェイクはまぜたけどおおむね事実で(フェイクとは)、弊社は今日も出勤を命じている。たぶん社員の誰かが発症すればさすがに自宅待機になって一応社員という待遇なので何割かは給与が出ると思うんだけど感染した人には給与が出なさそうなので、そうなってくると会社ではもう「感染したら負け」のデスゲームが開催されているようなもんなのである。前々から思っていたけど弊社はちょっとマガジンがすぎるんだよね(新しい日本語を作るな)。ジャンプでもチャンピオンでもモーニングでもスピリッツでもなく弊社はマガジン。掲載漫画全部読んでいるわけではないので根拠はないけど。
 弊社のそういうマジぶれねえところくそだとは思うけど「おもしれーじゃねえのアーン?」とも思うよ。でもさすがにちょっと弊社いい加減にしなよっていうか、そろそろ私も病んじゃうぞ、腹にダイナマイト仕込んで出勤しちゃうぞと思う(ネットであんまり大きなことをいうと大変なことになるのは承知しているので書いておくけどこの腹に仕込んだ黒い棒状のものはダイナマイトでなくホームランバットだよ1本30円くらいだよ)。いやでも、「感染しているけど発症していないだけかもしれない」叔父という存在はある意味ではダイナマイトを腹に仕込んでいるようなものでは……?

 そして物販行けないからメイトの通販で頼むかと思ったら推しの個ブロ売切れとるやんけ。も~誰よ買い占めした人~~~(そりゃ同担だろ)。
 と、冗談を混ぜたりしているけど推しの舞台を観られないのがむちゃくちゃ悲しい。
 でもこういうとき「はあ……不幸のどん底……」って思うと脳内で球磨川先輩が「それでも自分が不幸のどん底だと思う奴は仕方ねえ。いつでも僕に会いに来な。不幸に底なんてないってことを骨の髄まで教えてやるぜ」という名言を思い出すので漫画でも読もうと思う。めだかボックス全22巻、好評発売中! 凡人は天才と並ぶことができるのか? 悪の定義とはなんだ? 不幸の定義とはなんだ? 負けの定義ってなんだ? 己の中の「限界」や「定義」や「縛り」を考えさせられる傑作! 絶対読んでくれよな! めだかちゃんの「世界は平凡か? 未来は退屈か? 現実は適当か? 安心しろ。それでも、生きることは劇的だ!」というセリフを信じたい今日この頃である。


 とりあえず推しよ、私は極悪人になってしまったが君の健康を祈っている。
 あと暇だったら私の健康のためにインスタにいっぱい自撮り載せてほしい。ついでにインスタライブで言ってた好きな漫画を教えておくれ。叔父より