East gate,Open the sea.

飽きるまで推す

薄暗いところで走る推し

 

※舞台・九識のスプリントの感想。このブログでは何度も言っていますが私の推しはまばたきが「最高」で、私は推しのまばたきは蝶のはばたきが竜巻を起こすように巡り巡ってどこかで紛争を止めていると思っています。そのつもりで読んでください。

 

 11/1~11/3まで観劇。出演者(ジャニーズJr.とかAKBとか)を見て「戦争か?」と思ったけどいたくあっさりとれて拍子抜けした。アフトのキャストによって客層が全然違ってて面白かった。

 

とりあえず推しの話。

 初っ端推しが上手側で選手役としてユニフォームで出てきたけど「仕上げてきとるやんけ」と思った。
 他の方をあんまり見る余裕がなかったけど上半身、特に肩~腕の筋肉が他の方と比べてもてえへんなことになっていたように思う。これが舞台じゃなかったら「キレてるキレてる!」と言っていたところである。
 筋肉にそんなに詳しいわけではないが三角筋あたり?上腕二頭筋? がもりもりしていた。スポットライトが当たることはないので常にやや淡い光の中にいるけど、その上半身の筋肉が美しかったので私がミケランジェロとまでいかずとも彫刻家だったら今頃徹夜で石膏像を2、3完成させていたところである。ただのサラリーマンでよかった。「ここまで鍛えるには眠れない夜もあっただろ!」という掛け声が脳内で響いていたせいで初見時ここのシーンの他の方の台詞がまるで聞こえず2回目見たときに「そうだったのか!」と思った。
 その説明、すでにここでしてたのか……!
 そして11/3千秋楽の後に毎週推しが水曜日に更新しているラジオの更新があったけど、どうも今回の役作りのために3-4キロ筋肉を増やしたらしい。推しはユニフォーム姿になるのは、冒頭のモブの選手として出てくる数分だけで、それ以外はずっときっちりジャージを着ている。仕上げてきた筋肉が披露されるのはほんの数分なのである。しかも別にライトは当たってないので薄暗い。
 え!? あのシーンのためだけにそんなに仕上げてきたんですか!? ジャージ着ててもわかるくらい鍛えたかったのかな……? マジで眠れない夜もあったのでは? 
 俺の推しがすごいエピソード2021大賞決まった……? 
「仕上げてきてる」とは思ったけどマジで役のために仕上げてきたとは……とバスタ新宿でバス待ち中に更新分のラジオを聞きながら薄暗いところで走っていた推しを思い出していた。


 部長役で合宿先の変更を提案するが、本当の理由を見抜いた監督がその理由を話しているときに、まばたきをする。一回ではない。ちょっと早めのやつ何回かする。何回見てもこのシーンで「世界平和!」と思う。いや、後ろの方に座って双眼鏡使った日は「いい薬です」と思った。ありがとう、いい薬です。

 

 今回推しは徹底して「その他大勢」を演じていたように感じた。この言い方は正解ではないな……極端に自分に視線が集まるようなことは避けていた、ような気がする。日替わりの食事メニューのシーンでものすごいツボに入ったのか爆笑している日があった。でもサイレントで笑っていた(千秋楽は一瞬声だして笑ってたけど)。
 推しは「爆笑」すると声が高くなるし演技してないときも瞬間に受けたときはめちゃくちゃ声がでかくなる。おと裁二審のトークイベントかなんかで急に受けた推しがそれまで物静かだったのにでっけえ声で笑いだして「おもしれーやつ」と思ったのを覚えている。
 今回のこのシーン、別に声を出してはいけないことはないと思う。でも推しは声を出さなかった。でも、むちゃくちゃ笑っていた。「むちゃくちゃ笑っている」とわかった。

 

恐ろしい子っ……!」と、思った。

 

 そういえば舞台に出ることは決まってないけどまだどういう役なのかわかってないときに「木の役をやりたい」と急に呟いていて「え? 次の舞台木の役なの? 2時間立ちっぱなしでわずかにも動くことを許されない木の役? 北島マヤかな?(北島マヤは人形役として舞台に出たことがある。その公演の途中で母親が死んで人形なのに泣いてしまった)」と、思った。
 推し、マヤか亜弓さんかで言えばマヤだよな……と、このときに考えていた。
 なので舞台の中で推しが副部長の子を「マヤは」って名前で呼んだとき初見時「いやお前がマヤだが……?」と思った。
 お前がマヤだよ!!
 お前がマヤになるんだよ!!

 

 何の話?
 推しが北島マヤの話!(推しは北島マヤではない)
閑話休題

 

 ここ最近、「この舞台にかかわってる偉い人も推しのこと推しとるやろ」と思う舞台が多かった。というかすべての舞台がそうだった。わかる~~! 私も推しのこと推せると思う!
 でもそのせいというわけではないが「どったんばったん大騒ぎ」する推しを見ることが多かった。推しはオモロの一等星なので推しの日替わりネタ・アドリブはすごい。推しという贔屓目を抜きにしても「思わず見てしまう」とか「思わず笑ってしまう」ということが多々ある。真顔になってしまうこともあるけど。今回日替わりの笑いが起こるシーンで推しも出てるのに推しはその日替わりネタを見ているけど積極的に絡むことはなくてなんか新鮮だった。
「推しのキレ芸」というのは私が勝手に言っていることだけど急に怒って大きな声を出す推しのターンをそう呼んでいる。推しが決めたわけではなくそういう指示があったのかもしれないけど。指示があってもなくてもそれが許されている推し。
 今回はないだろうと思っていたしそのとおり「推しのキレ芸」はなかった。なかったけど、怒ってた。
 監督が桐原にいろいろ言うシーン。
 監督が桐原にきついことをいろいろ言っていて、推しはそれを黙って聞いている。でも眉間には1円玉くらいなら挟めそうな皺が寄ってる。12人のときとは怒り方が違って見えて、うまく言えないけど「推しの新しい役だ!」と嬉しくなった。この一連のシーン、推しは監督が話しているときに怒ったような顔をして、桐原の話を聞いて少し悲しそうな寂しそうな顔をして、そしてまた監督が話し出したら納得いってないような、怒ってるような顔をする。でも、監督に怒った他の部員たちを止める。ほとんど台詞がないシーンだけど、部長の葛藤みたいなものがわかった。

 推し、メインキャストではないので台詞や出番は多くなかったけど、ライトが当たっていないところでも最高だった。なんだっけ、スパイクの話してるときかな、下手側に陸上部がたまってて、推しは日によって立ったままだったり女子部員の前にしゃがんだり後ろに座ったりしてて、なにも話さないけど見ていて飽きなかった。

 

  とりあえず「陸上部部長の鈴木充」むちゃくちゃよかった。その後日替わりにつながる、食事制限を提案して副部長に強めに「はあ?!」って言われるシーン、遠慮のなさが「同学年」という感じで好きだ。複数の人間がわちゃわちゃしているのを見るのが好きなので「陸上部」で集まっているシーン、公園で散歩中に集会してるわんこたちみたいで全部かわいかった。
  推しだけでっかくてオモロだったな……。

 桐原を次の部長に指名したシーンで「俺とまやは新聞社の新人記者で、そのとき俺はもう陸上をやってないだろうけど」みたいなことを言っていた。うまく言えないが こういうのが私は好きだなあ。このシーン日によって声の大きさが違った気がする。
 新聞記者の推し、スーツの袖を捲って中のシャツを袖口から折っててこのスタイル、どっかで見たことある……と思ったら美味しんぼ初期の山岡さんだわ……私の中の「新聞記者」のイメージと完全に一致。
 桐原が新記録出したとき日によってはすごい泣いててよかった。
 合宿で他の部員を連れてはけていくときに最後ちらっと桐原のことを振り返ったり、食事制限している桐原に気を遣ってか自分たちも食事制限しようと言ったり、部長だけじゃないけどみんな桐原のこと気にしてて仲いいチームで見ていて微笑ましかった。

 推しのことではないけど為永が「俺の脚、今日もありがとう」と言っているシーンでも観劇初日は「俺の推し、今日も頑張ってくれてありがとう……!」とマジで全然関係ないところで感極まっていた。
 初日は推ししか見れねえんだ、オタクだから(すべてのオタクがそうというわけではない)。
 そういえば為永さんも「どこかで見たことある……」と思ったけどジャージがへし切長谷部の内番と似てた。気づいた瞬間むちゃくちゃすっきりした。

 

  メインキャストではないしたぶん周りも知らない人ばっかりだろうし推しのお得意のアドリブも出せない状態で、でも推しは最高だった。「通行人Bをやる推しも見たい」と思っていたけどそれに近いものを見ることができた気がするので推しのオタクとしてはそこそこに楽しめた。
  次は主役をやる推しが見たい。


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 推し以外の話

 
 テレビをあまり見ないのと予習を全然していなかったので「ジャニーズの方主演」「AKBの方も出る」くらいしか理解していなかったけど特撮の方も何人か出ていらっしゃったとアフトで「特撮チーム」と言われていたときに知った。そしてパンフを読んで「あ、この方がこのキャラの声優だったからあの台詞があったのか~」と理解した。推しを推していたら突然「ゲットだぜ」を生で聞くイベントが発生するなんてそんなのある? 人生おもしろすぎるな……。

 毎日誰かしらが台詞を噛んでいらっしゃったように思う。
 かむかむレモンを食べたくなるくらいみなさん盛大に噛んでいる日があった。かむかむレモンを思い出して口の中に唾液がたまった。 ある日のアフトで噛むことに関して「仕方ない」と言っていて「仕方ないのか~」と思った。仕方ないのか~。

 

 この話はここまでにしておこう。

 

 私は女性に対してはむちゃくちゃミーハーだな……と、女性陣アフト見ながら思った。ショートもハーフアップもサイドテールも低めのツインテも編み込みももちろんポニテも最高。全員かわいい。最高。滝村さん役の方、端的に申し上げてむちゃくちゃ好みの顔。千秋楽のダンスキレッキレで「さすが本職の方……!」と思った。小山田さんに口塞がれるシーン、改めてお顔が小さくてびっくりした。
 美代ちゃん役の方、すごく演技がうまいのでは……? と思ってたけどパンフの紹介ページでもむちゃくちゃ褒めてあっておもしろかった。推しのページにも書いてよ。
 そういえば男女比が同じくらいの舞台に推しが出るの初めてだな。


 個人的に気になったキャラは多山。
 ただ自分が勝つことに、9秒台を出すことにこだわっている多山、桐原がスランプで本調子ではないことを「ビッグチャンス到来」と言っていて、そういうの嫌いじゃない。勝てば官軍。
 でも桐原を妬んでいるといってもいいようなライバル視をしている理由で「あんなに恵まれた環境でやってるのに」と、「自分は裕福ではなくバイトもして頑張っている」ことを何回か言っていた。それについては、「だからどうした?」と思う。「苦しい環境で頑張った」、それはすごいんだろう。でも、「苦境での努力」がイコールで結果に繋がるような言い方をしてないか?
 と、「個人的には」思った。
 桐原にも「もっと必死になれよ」というようなことを言っているが、なんというか多山、「努力=結果」みたいなことをけっこう言ってる気がして違和感があった。それだけ勝ち負けという結果にこだわるのに「必死になって」いるという過程を相手にも求めるのがはじめはわからなかった。
 でも何回か見ているうちにこれは「憧れてたやつが腑抜けてがっかり」的な感情も含まれているのではないかと思った。ジャンプラで連載中、「推しの子」でも最近似たような感情の話を見た。
 桐原のスランプを本当に「ビッグチャンス」だと思ってるならわざわざ発破かけるようなこと言わなきゃいいのにと思っていたけど上のように考えると納得がいく。
 なんだかんだで多山も桐原に「過去の人」になってほしくなくて「もっと必死になれ」と言ったのかもしれない。
 その前のシーンではタメ口だったのに桐原が9秒台出した途端やや敬語に戻っててて違和感だったけど多山の桐原への感情の根底に「憧れ」があったと考えると理解できなくもない。

 そして私はこういう「10人いたら8人くらいが嫌なやつという役」を見ると「推し、この役やってくれねえかな~」と思う。まばたき全然しないで主役をガン見しながら詰る推し、見たいな~~~!
 

 あと山坂さん、どこまでもいい人で「え、怖っ……実は腹黒いとかないよね……」と思っていたらある日のアフトで演出助手の方が役者さんを「はじめの顔合わせから爽やかで……絶対腹黒いだろと思ってたけどずっといい人だった」というようなことを仰ってて「むちゃくちゃこの役にあってる人やないかい!」と思った。


 ストーリーについて、「いい話」だなと思った。
  
「みんなが金メダル」、いい言葉である。
 でも私はプロテニスプレイヤーのマルチナ・ナブラチロワが言った、「勝ち負けが重要ではないと言うのは、いつだって負けた方よね」という言葉が好きな人間なので「いい話」だなと思っただけだった(この言葉調べたら「~が口癖の人はほとんど負けている」とか「~と言った人たちはおそらくみんな負けているはずね」とか色んな訳があるけど「いつだって負けた方よね」が一番好きだ)。
 金メダルは金メダルだし、銀メダルは銀メダルだし、負けは負けだろうがよ。と、思う。「思い出なんかいらん」という言葉が頭を過る。

 なんかうまい言えない「もやっ…」があったけど4回目くらいで「たぶん私は『他者と競うこと』『勝ちにこだわること』が『純粋ではない』と言われていることが納得できないんだな」と思った。
  為永が桐原に「お前は本当の金メダルを持っているのか」って言ったときは「いや、優勝したらもらえるやつを偽物みたいに言うな……」と思ったし、ラストで「競うことより尊い、人のための努力」みたいなナレーション流れて「己の勝利のためにする努力は、人の助けのためにする努力よりも下みたいな言い方するな……」と思った。そこは「どっちも金メダルマインド」じゃないんだ?!

 

 観劇初日、そこがなんか一番もやっとしてしまい、「何回か観てから考えよう」と、なぜそこにもやるのか考えたけど、つまり私は天衣無縫の極みにいまだに納得できていない、という結論に至った。
 天衣無縫の極みはたしかにすっげーけど、俺は幸村に勝ってほしかったんだよ……(急にテニプリの話をするな)。
  でもテニプリを通ったオタクなので「はいはいつまり天衣無縫の極みが最強って話ね」と「理解」することはできた。「勝ちたい」という競争心が不純なものみたいに言われることには納得できないけど。
 いや、勝ち負けにこだわらずただテニスを楽しめという許斐先生のメッセージは理解している……。
 リョーマ!、「タイムスリップする」「いや柳生いやいやなんで柳生」しか前情報が無い状態で見に行ったらいきなり全国大会決勝で「ゆ、幸村あああああ!」ってなったオタクが私。DecideもGloryも見に行った。

 

 舞台の話に戻すと「己の勝利のためにする努力も尊いけど、今回は『楽しく走りたい・楽しく走ってほしい』という努力が実を結んだお話でした」と言うよりは「競うことよりも人のためにする努力の方が尊く、ただ走りたいという気持ちの方が純粋である」って言いきったほうがメッセージ性は強いもんな~と思うので仕方ねえよな!! と納得はできないが適当に落としどころを見つけて無理やり飲みこんだ。
 でもこれは「私には響かなかった」というだけで「みんなが金メダル」という言葉で救われる魂もあるということは理解しているつもりである。

 まあなので「いい話」だなと思った。

 

 双眼鏡使いたくて1公演だけやや後方の席に座ったけど、序盤の、選手三人が並んでスタートして暗転してタイトルコールが流れるシーンと、陸上部のみんなが左右に順に走っていくシーンと、ラストのセットしている桐原にだけライトが当たっているシーンは後方席の方が見やすいというか「良さ」がわかった。
 けっこう席に段差なくてラストのシーンは前方でもドセンに座ったとき前の人の頭とセットしている桐原がかぶっちゃって見えないことがあった。


  今回、「マ、マナーーーーーー!」と思うことが多々あった。色んな人を見てきたので「わ~お……」と思うことはあれどちょっとやそっとじゃもう驚かんぞと思ってたけどアフトでスマホいじりながら見てる人がいたときはちょっとびっくりした。
  あとなんかの音が鳴ってるとか話し声が聞こえるとかは毎日なにかしらあったのだけどもしかして「席ガチャ外れ」だっただけか……? いやでもけっこう離れた席から聞こえたぞ……? 


 そんな感じでいろいろもやもやとすることはあったけど推しはやはりオモロの一等星だとわかったので満足して大阪に帰った。
 何度も言うが、今度は主役をやる推しが見たい。
 そして12月の予定があるなら早めに教えてください。